第一回母学会議 主旨

伊東順二
伊東順二

開会のあいさつ

 皆さま、こんにちは。お忙しい中、第1回母学会議に参集いただき、ありがとうございます。プロデューサーを務めております伊東順二です。ベ ビーカートに乗った赤ちゃんたちがこんなに来場していただいて、私たちも本当に心から嬉しく思っております。

 最後まで赤ちゃんたちも楽しく、また興味深く聞いていただければ幸いと思っております。 この母学会議の始まりは、20年ほど前に今日参加されていらっしゃいますアップリカ育児研究所の葛西さんのお父様の葛西健蔵さんとの出会いから始まりました。

 戦後、日本の次世代、後輩のことを考えて、非常に致 死率の高かった胎児から3歳までの赤ちゃんのことを思って、手塚治虫さ んたちと、赤ちゃんたちを幸せに育てるためにどのようなことをしたらい いのかということを内藤寿七郎先生と話されて、赤ちゃんの命と心を守る 温かい心を育む運動を展開されました。

 20年前にお会いしたときに葛西 健蔵さんは、「それは芸術にも通じるのではないか、芸術こそ、赤ちゃん の心を育む上で大切なことではないか」ということで、「伊東さん、いつか芸術の方から見た、もしくは芸術の方でこのような運動を始めてくれないか」と言われました。

 それから20年ぐらい経つと思います。ようやく 約束を果たせて、これからの感性教育に非常に必要な分野だということを 東京藝術大学の COI 拠点で認めていただいて、この会を開催できることになりました。

 残念ながら葛西健蔵さんは、今ご療養中で来場されることは できませんが、その代役をしっかり務めていきたいと思います。 

 そのような葛西さんとのお約束の中で、幾つかのことを考えました。

 ひとつは、小林登先生が出された「母学」という本をテーマにできないかということです。私も序に書かせていただいておりますが、アップリカ育児 研究所が葛西健蔵さんの想いを継ぐために出版された小林登先生の大著であり、赤ちゃんを科学的に見て、その科学の上に成り立つ感性の方までを 言及されて、どのように育てるべきか、どのような環境を作っていくべき かということを語られております。この本をベースに会議を開こうと思い、 今日は小泉先生、仁志田先生、北代先生、宮廻先生、新井さん、葛西さん に参加いただいて、後でこのテーマについてディスカッションをいたしますが、その前にやはり芸術ですから、赤ちゃんのために新しい表現を提供 しようと企画しました。

 東京藝術大学に集まった様々な異なる才能をひとつの想いにして、赤ちゃんたちに届けようということを考えたのです。そ れが今日、これから発表いたしますマザープロジェクトによる胎感芸術「おまもりうた」です。

 私たちがいたお母さんの体の中の子宮の中の印象、また思い出というものを、音と映像とすべてが調和した世界の中で、その感 覚を少しでも皆さんに思い出してもらうために。

 また赤ちゃんたちが今、その真っ只中にいるような感覚でこれからもすくすく育たれるよう、新しい芸術の実験、胎感芸術をここで発表しようと企画しました。

 私の助手たちを中心に、様々な方が参加するマザープロジェクトという形をとっています。

 マザーとはすべてを生み出す母体をも意味しています。そのすべてを生み出す母体の中でいろいろな方が集い新しいものが生まれていくマザーシップのような、そのようなプロジェクトができないかと思いましてこのプロジェクトを立ち上げました。

 今日はベビーカートが壮観ですね。残念ながらアップリカのものは少ないみたいですが、気にしません。それでいいのです。

 ただ、葛西健蔵さん が考えられた乳母車が、どれほどの赤ちゃんの命を救ったことかということを改めてここで特記することが重要だと思います。そういうことも踏まえて、私たちが作ったのは、「おまもりうた」というものです。

 おまもりうた、 子守歌というのは、どういう時に歌うんだろうということやどういうことを思って歌うんだろうということを考えました。

 子守歌というのは、寂し い歌でもあるといわれています。

 なぜなら、昔から、奉公に来た人たちが、 女中さんと呼ばれた時代にその人たちが育児を任されて歌っていた歌とい うことで、今はあまり子守歌という表現を使ってはいけないということも あります。

 それゆえ私たちはその新しいものを作り出そうとするときに名 前も新しくしなければいけないと思いまして、「おまもりうた」という名 前にしました。

 なぜならば、子守歌というのはどういうことを意図して歌 われるのかもしくは口ずさまれるのかというと生まれた小さな生命をしっ かり守って、そして将来に健やかに育っていけるように、そういうことを 願う歌だからです。

 おまもりうたは小さな命を守る歌、この世におりた小 さな命を紡ぐ歌です。お母さんの体の中で聴こえ、いつまでも体が覚えて おくように、そして新たな命につなぐように、おまもりうたはどこからと もなく浮かんだしっかりと、ささやかな灯火を高く深く奏でる歌になりた いと思っております。

 心の時代を作るために、今一度お母さんの胎内で聞 いた声を音を姿を感じていただければ幸いです。

 これからおまもりうたを しばらく体験していただきまして、それから小泉先生の講演に移りたいと 思います。

 いろいろなプログラムを用意しておりますが、最後までごゆっ くりお聞きいただきたいと思います。ご来場どうもありがとうございました。

母学 ロゴ
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そして母になる。
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